「吸えば動ける」は“借金”でした――40 ℃のツケは突然やってくる。
1. 何が起こった?有名人の症状を医学的に読み解く
お笑い芸人・おばたのお兄さんは仕事を優先してリリーバー(発作止め)吸入器を何度も使用。結果、40 ℃超の発熱としびれで救急搬送され、自身のブログで「吸入器の過剰使用が良くなかったようです」と明かしました。([ameblo.jp][1])ポイント:リリーバーは一時的に気管支を広げるだけで、炎症そのものは放置。使うほど炎症が悪化 → さらに回数が増える負のループに陥ります。
2. SABAが効かなくなるメカニズム
短時間作用性β₂刺激薬(SABA)は数分で気管支を拡張。
1. 頻回使用でβ₂受容体が鈍感化(耐性)。
2. 気道の炎症は進行し、発作頻度が上昇。
3. 「効きが悪い」ため回数がさらに増える。
英大規模データでは年間3本以上のSABA処方で重症増悪リスクが倍増。([ginasthma.org][2])
3. GINA最新改訂が“リリーバー単独NG”と断言する理由
世界ガイドラインGINA 2025
世界的な喘息ガイドラインであるGINAによると* 年間3本で増悪リスク上昇
* 年間12本で死亡リスク有意上昇
と明記し、「リリーバーだけの治療は推奨しない」と強調。([ginasthma.org][2])
したがって必ず抗炎症薬(ICS)を併用、またはフォルモテロールICS併用療法(MART)へ切替える必要があります。
4. 忙しくてもできる3つの対策
ステップ | 今すぐやること | 続けるコツ |
① 回数を“見える化 | 100 円ショップの指輪型デジタルカウンターをサルタノールにゴム留め。吸うたびにポチッ | 夜に数字をスマホ撮影→忘れ防止 |
---|---|---|
② 発作ログをアプリ化 | 国産アプリぜん息チェッカー・吸入サポートで症状+回数を1タップ記録 | 週末にCSV出力→Excel/Sheetsに貼り付け |
③ 医師と共有して治療を更新 | 1か月に3日以上「救急吸入」なら受診タスク | データをPDF化して診察へ持参 |
対応アプリ早見表
アプリ | iOS / Android | 主な機能 |
ぜん息チェッカー | iOS / Android | 症状・薬・気象ログ/カレンダー色分け ) |
吸入サポート | iOS (Android準備中) | 回数・残量記録/手技動画 ) |
OMRON Asthma Diary※ | iOS / Android | WheezeScan連携/グラフ化 ([play.google.com][5])※ 2025 年9月10日サービス終了予定。英語 |
5. 1か月に3回以上“救急吸入”が必要なら治療を見直そう
* 夜間や早朝に週1回以上リリーバーを使う
* 1か月で3回以上「効かない?」と追加プッシュ
→ 治療計画を変えるタイミングです。ICS増量、ICS/LABA固定配合、MARTへの変更などを医師に相談しましょう。
🛠 グッズ/ガジェット紹介
アイテム | 特徴 | 入手性 | 情報源 |
WhizzSpacer システム | pMDIに装着/回数+吸入速度をアプリ転送 | 国内販売開始(29,800円・医療機器流通) | [microncro.com][4], [microncro.com][5] |
---|---|---|---|
Enerzair®/Atectura® Breezhaler® + Propellerセンサー | 処方薬に専用センサーを医療機関が提供 | 中・重症患者対象 | [biospace.com][3] |
100均デジタルカウンター | 110円・英語不要/缶にゴムで装着 | 全国100均で | |
折り畳みスペーサー | 旅行・出張鞄に◎ | Amazon 等 | ー |
DIYヒント:カウンター表示が20回を超えたら赤いマステを貼ると“危険サイン”が一目で分かります。
まとめ
倒れる前に治す――これが明日のあなたの案件を守る最短コース。
まずは「今日何回吸った?」を数字で確かめ、3つの対策を1つでも始めてみてください。
行動を起こした瞬間から、仕事も命も“攻めの守備 ”に変わります。
参考サイト
[1]おばたのお兄さん公式ブログ「初めての救急病院。皆さんも気をつけて!」2025-06-12 |ameblo.jp
[2]GINA 2025 Strategy Report pp.37-42(SABA本数と死亡リスク)|ginasthma.org
[3]Propeller Health「Enerzair®/Atectura® Breezhaler®用デジタルセンサー」2020 プレスリリース|biospace.com
[4]吸入技術支援デバイスの医療機器届出完了と販売開始を発表 | 株式会社マイクロン
[5]吸入薬服用補助デバイス日本国内販売開始のお知らせ | microncro.com
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