気管支拡張の吸入を「吸っても変わらない」と感じたら、数値と時間をチェックして、落ち着いて判断しよう。
ピークフローとSpO₂を使った判断+「慌てないための備え」
息苦しい時は受診するかどうか判断に迷いがち。
数値で客観的にみるのもひとつの方法です。
1. 数値で判断する:ピークフローとSpO₂の活用
ピークフロー(PEF)
• 普段のベスト値の50%未満 → すぐ受診を!
• 50〜80% → 中等度の悪化。追加吸入+30分以内に改善しなければ受診
• 80〜100% → 通常の発作レベル。吸入後の経過観察でOK
例)あなたのベスト値が 400L/分 → 今夜180L/分 → 45% → 受診!
酸素飽和度(SpO₂)※パルスオキシメーター使用
SpO₂値 状態 判断
96〜100% 正常 経過観察
93〜95% 軽い低下 吸入+様子見(15〜30分後に再測定)
92%以下 要受診 改善しなければ受診
90%以下 重症 救急受診 or 救急車を検討
※数値が良くても自覚症状が強いときは、受診することを検討してください。
2. サルタノールなどを使った後の「待ち時間の目安」
• サルタノール・メプチンなど短時間作用型β2刺激薬(SABA)を1〜2吸入
• 15〜30分以内に症状が改善 → ひとまず安心(再発に注意)
• 30分経っても改善なし、または、再発する → 受診を検討
• すでに1時間で2〜3回以上吸っている → 過剰使用のリスク。受診!
「吸って効かない」は、危険信号。慌てず、時計を見て判断しましょう。
3. 自覚症状からの判断ポイント
• 会話が途切れる、話せない
• 横になれない、起きていないと苦しい
• 息を吸っても吸っても足りない感じ
• 顔色が悪い/唇が青白い
• 呼吸音(ヒューヒュー)が弱くなってきた(→重症サイン)
• 吸入を繰り返しても症状が戻る
4. 救急に行くときの「持ちもの」リスト
健康保険証・マイナンバーカード 確実に必要。ないと全額自費になりますお薬手帳 or 処方内容のメモ 吸入薬の種類・量を伝えるため
現金(1万円以上) 夜間は料金の計算ができないため多めに持っていく。
スマホ・連絡先メモ 家族やタクシー呼び出しなどに備えて
飲み水・羽織もの 待ち時間が長くなる場合に備えて
(可能なら)パルスオキシメーター・ピークフロー 救急スタッフに見せられると診断が早まります
5. タクシー?救急車?迷ったときの目安
• タクシーで行けるケース:話せる、歩ける、顔色・SpO₂が比較的安定
• 救急車を呼ぶべきケース:呼吸困難で動けない、SpO₂が90%以下、唇が紫、意識がぼんやり
6. 【もしもの備え】夜の発作にそなえて
• ピークフローのベスト値は手帳やスマホにメモを
• 吸入薬の使い方・本数はすぐ言えるように
• 家の近くの夜間救急の場所・電話番号を確認しておく
• 現金・お薬手帳は普段からカバンに入れておくと安心
最後に
「行くべきかどうか」を迷っている時間が、一番つらくて不安な時間です。
だからこそ、
受診してみて、何もなくてよかった、と思える救急受診のほうが、後悔しない夜になります。
参考サイト
アレルギーの手引き2025| 日本アレルギー学会